僕は、2017年3月に、当時ノイキャン世界最高峰とうたわれたソニーのノイズキャンセリングヘッドホン(MDR-1000X)を購入しました。
ノイズキャンセリングでありながら、ワイヤレスと有線どちらでも音楽を楽しむことができるすぐれものです。
ですが、それ以上にアンビエントサウンドモードというものがあり、外音をとりこんで音楽とミックスできる素晴らしいモードがあったので、思い切って購入にいたったのです。
そんな僕が、このヘッドホンを2年以上使ってみて、思ったこと・感じたことを書いていきます。
ノイズキャンセリングとはなんなのか? 仕組みをざっくり解説
まず、ノイズキャンセリングとはどんなものか知らない人のために説明します。
ノイズキャンセリングとは、直訳して”騒音を取り消す”ということです。
外からの電車の音、いわゆる騒音を消してくれる作用があります。
詳しいことは説明しませんが、だいたい次のようなイメージです。
音の一定の波を想像してください。上下の波です。ここでは簡易的に「/\/\」を使って表してみます。上下上下という変化がある感じですね。
その「/\/\」とは逆の「\/\/」を、リアルタイムでスピーカー側からうまい具合に重ねます。下上下上という変化ですね。
そうすると、不思議なことに中和されて「ーーーー」のようになります。ノイズキャンセリングとはこのようなイメージです。
実際に使ってみるとわかるのですが、本当にこれで電車や車の音が聞こえなくなります。
ノイズキャンセリングを考えた人はすごいですね……。
しかし、外部からの大きさも音の周波数もまちまちです。
マイクからひろえるノイズとスピーカーから出せる音の音量・周波数の範囲は限られています。
そのため、100%カットされるというわけではありません。
感覚としては、80%〜90%ほどカットされるという感じです。
ソニーは、そのマイク・スピーカーの性能のネックを極力減らせるよう作ったのが売りのよう。
例えば、ヘッドホンのスピーカー内部までマイクを設置して実際に聞こえる騒音を測定させたり、試験信号音を再生して内部調節をさせたりするなど、技術をふんだんに使って快適なリスニング体験ができるようにしたそうです。
「アンビエントサウンドモード」がリスニングの革命を起こした
このMDR-1000Xには、アンビエントサウンドモードというモードが備わっていました。
これは、ノイズキャンセリングを応用しています。ノイズキャンセリングモードとの違いは、ある音だけを通してくれるというところ。
MDR-1000Xのアンビエントサウンドモードには、2種類の設定がありました。
人の声以外をカットして、人の声だけが聴こえるようにした「ボイスモード」と、マイクで集音できるすべての音を取り込む「ノーマルモード」です。
(ノーマルモードに関しては、ノイズキャンセリングではない気がしますが。どちらかというと……ノイズキャッチングでしょうか!?)
ノーマルモードの特徴=曲と街の喧騒がミックスされる
ノーマルモードで街を散策すると、びっくりするぐらい自然に外の音がミックスされて聞こえます。
ゲームによくある、どこからともなく聴こえてくるBGMのような……ポケットの中のボールからモンスターがあらわれるあの有名な某ゲームのことですかね(笑)。
でもまさにそんなイメージです。
もはや外でなっているのではないか、他の人も音が聴こえているのでは……と思わずそわそわしてしまいます。そのくらい不思議な感覚なのです。
しかし、車の通りが多いと、曲はもみ消され、もはや車の音しか聴こえません。
「ボイスモード」の登場=欠点がむしろ使える
そこで、僕がよく使っているのは「ボイスモード」です。
外の音はいろいろな高さの音で構成されていますよね。ボイスモードなら、人の声だけを通してくれます。
外で使うには危なそう……と思ったのですが、このボイスモード、ちょっとした欠点があったのです。
なぜか車の音も弱めに聞こえるのです。
車の音は、いろんな音でできていますよね。あの「サー」っという音、ホワイトノイズに似ていて、大小はあるにしろどの成分の周波数の音も含まれています。
MDR-1000Xのボイスモードは、人の声と同じくらいの範囲の音ならばすべて取り込むので、車の音のなかから中音の「サー」という音だけを受け取ってきます。
一点防ぎようのなさそうな欠点ですが、これが逆にすごくいいのです。
ノイズキャンセリングを使っていると、後ろからくる車の音なんて聴こえません。音楽をかけながらだと、1~3m以内に来てようやく気付くくらいです。もはや聴こえないです。
そのままでは危ないので、アンビエントサウンドモードのボイスモードに切り替えてみました。案の定、街の人の声が聞こえます。
それと同時に、車の音が少し聞こえたのです。音は抑えられていますが、音楽を聴きながらでも十分聞こえます。20m以上離れていてもです。マイクの性能が良いのでしょう。
これならば、交通事故を防ぐことができます。曲と比べても、うるさくなく、音が競合することがありません。
思わぬ欠点が、利点として使えるようになりました。
これによって、普段遣いするときはノーマルモードではなく、ボイスモードを使っています。
「ボイスモード」そもそも人とあったときに音楽を聴くのだろうか……?
ボイスモードの開発コンセプトは人と会話しながら音楽を聴けるといったもの。
とはいったものの、そもそも人と歩きながら音楽を聴いたり、人前で音楽を聴きながら話したりするのでしょうか……。
実際に使ってみて、答えはNOでした。
人と話をするときにヘッドホンをしていては、どうも奇妙な感じですね。相手にとっても変な感じです。
コンビニに入ったときにこのモードを使うという使い方をすればよいのですが、普段よりやや聞き取りにくいのもあまり心地よくなかったので、結局のところ外していました。
なので、ボイスモードは主に街を散策するシーン、かつ車が通る場所で多用しています。
まとめ:ノイズキャンセリングヘッドホンは伊達じゃない
技術を結集させた「ノイズキャンセリング」や「アンビエントサウンドモード」はすごいなぁと感じました。
最初、ノイズキャンセリング技術を聞いたときは半信半疑でしたが、ソニーの実力は本物のようです。
現在、この記事で紹介しているMDR-1000Xは、ソニーストアでの販売を終了しています。
最近、MDR-1000Xシリーズ後継で、イヤホンバージョンのWF-1000XM4も購入しました。レビューしているのであわせてご覧ください。